歩行と糖尿病の関係について
散歩やウォーキングは生活習慣病を予防できると言われており、手軽に取り入れられる運動となっております。今回は、生活習慣とも関連の深い”糖尿病”と”歩行”との関係を投稿させただきます。
目次
糖尿病とは
引用:MSD製薬 患者さんのための糖尿病ガイド
糖尿病は、血液中の糖(血糖値)が高くなる慢性的な疾患です。これは、体が正常にインスリンを生成できないか、インスリンの効果が十分に発揮されないことにより起こります。インスリンは、すい臓から出るホルモンであり、血糖値を調整し、細胞にエネルギーを供給する重要な役割があります。糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病に分類され、1型糖尿病は主にインスリンの生成が不足することが原因で、2型はインスリンの効きが悪くなることが原因です。
血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気につながります。また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります。
糖尿病は、早期のうちに適切な管理を行わないと、心臓病、腎臓病、視力障害などの合併症を引き起こす可能性があります。しかし、適切な食事管理や運動、薬物治療を通じて、血糖値をコントロールすることが可能です。
歩行による糖尿病予防効果
糖尿病の予防や管理には、適切な食事と運動が不可欠です。その中でも、歩行は非常に手軽で効果的な運動として知られています。歩行は特別な器具や施設を必要とせず、誰でも日常生活の一部として取り入れることができるため、特に糖尿病予防や血糖値コントロールに役立ちます。
1. 血糖値のコントロールに対する効果
歩行などの有酸素運動を行うと、筋肉が血中の糖をエネルギー源として利用し、血糖値が自然に低下します。特に、食後30分から1時間以内に15~30分の歩行を行うことで、食後の急激な血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。これはインスリンの効率を改善し、血糖値を安定させるのに役立ちます。
2.体重管理と2型糖尿病の予防
肥満は2型糖尿病の主なリスク要因の一つです。歩行を定期的に行うことで、体脂肪が減少し、体重のコントロールがしやすくなります。これにより、インスリン抵抗性が改善され、糖尿病の発症リスクが低下します。毎日のウォーキングを習慣にすることは、特に遺伝的に糖尿病のリスクが高い人にとって重要な予防策となります。
3. メンタルヘルスの改善と予防効果
糖尿病とストレスは一見関係がないように思いますが、実は関係が深いと言われております。それは、ストレスがたまると暴飲暴食、睡眠不足、喫煙、飲酒といった糖尿病のリスクが増加する行動につながりやすくなります。また、ストレスによって血糖値が上昇するホルモンが分泌されるとも報告されております。歩行は、ストレスを軽減し、気分を向上させる効果があるため、ストレスを解消・軽減する点でも糖尿病の予防や管理においても有益です。日々の歩行によって、体だけでなく心のと健康も維持できることが、長期的な糖尿病管理の成功に繋がります。
糖尿病を予防するための歩数
引用:中之条研究から見えてきた“病気にならない生活法”東京都健康長寿医療センター
いくつかの研究結果から、1日あたり7,000~8,000歩を歩くことで、糖尿病や心血管疾患のリスクが大幅に低減することが報告されています。
また、日本においては群馬県中之条町に住んでいる65歳以上の住民5,000人を対象に、15年以上にわたり身体活動と病気の関係を調査した中之条研究の結果から、糖尿病を予防するには1日8000歩のと速歩き20分間を実施することが重要とわかっております。
他にも、糖尿病を予防するには、中等度の有酸素運動を少なくとも週3回以上行うことが推奨されており、運動しない日が2日以上続かないようにすることも大切と言われております。そして、1 回の運動時間は20~60分で、週に150分以上行うことが良いと報告されております。
糖尿病を予防するための歩行速度
歩行速度は、2型糖尿病のリスクを減らす上で最も重要な要素になります。
前述の歩数との関連性も報告されておりますが、歩行速度との関連性方が予防には重要と報告されております。
研究によると、時速4kmのペースで歩くことが、糖尿病リスクの低減に最低限必要な速度とされています。この速度より速く歩くことで、さらなる効果が得られます。たとえば、時速1kmごとに2型糖尿病のリスクが9%低下することが報告されています。さらに、時速5~6kmでのウォーキングは、散歩と比較して24%の低下と報告されており、時速6km以上では、39%の低下が確認されています。
まとめ
糖尿病は生活習慣と関係が深い疾患であり、様々な合併症や疾患を引き起こす可能性のある怖い疾患でありますが、歩行などの運動によっても予防できる可能性が高い疾患でもあります。
糖尿病にならないように、普段の生活習慣(食事・睡眠・喫煙・飲酒など)に加えて、1日8000歩の歩数や速歩きを意識してみましょう!
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