いい歩きは足の着き方で決まる!

リハビリの場面やウォーキングレッスンなどで「踵から着きましょう!」と言われることがあるかと思います。

正常歩行は、踵から接地し、つま先で離地する。という流れなので正しい指導になります。

他にも「つま先が引っかからないように」、「お尻や太ももの筋肉が鍛えるため」などの理由でそのように指導されていることが多くあります。今回は、もう少し踏み込んだ観点で、足の着き方が歩き方に影響していることを説明させていただきます。

目次

歩行の流れ

歩行の重心移動

歩行中の位置エネルギー

踵から着くことと足裏から着く違い

まとめ

歩行の流れ

歩行動作は時系列で脚の出方やそれぞれの関節運動が決まっております。

これは、1992年にランチョロスアミーゴス国立リハビリテーションセンターの医師(Perry) によって定義されました。

この定義は、国際的にも用いられており、理学療法士であれば学生時代に必ず覚えるものとなっております。

歩行の重心移動

歩行は並進運動ですが、一歩の間に2回、重心が数㎝上下運動します。

そして、重心の高さがピークを迎えるのが、”踵からついた直後”の時点です。

歩行中の位置エネルギー

前述した重心の上下運動にて位置エネルギー(図の青線)と運動エネルギー(橙線)が発生します

イメージとしては坂道を自転車で下った後にもう一度坂を上る感じです。重心が下がる際に運動エネルギーが蓄積され、上がる間に使用されます。

一歩の間に、このエネルギー交換が2回生じます。そのため、長い距離を疲れないで歩くためにはこのエネルギー交換を効率よく行うことが重要になります。

言い換えれば、位置エネルギーを蓄えることができると楽に歩くことが出来るということになります。

※位置エネルギーは物が高いところにあると生じるエネルギーで、物体が運動している際にエネルギーを運動エネルギーと言います。

踵から着くことの足裏から着く違い

では、実際に踵から着く歩き方と足裏から着く歩き方でどのような違いが生じるのかを説明します。

まず、歩行の流れで述べた歩行周期が大きく影響します。

本来の歩行では、初期接地が踵接地から始まり、続いて足裏が接地する流れとなっており、この間に2つの異なる回転力が生じます。

まず、踵接地から足裏接地までの間には、踵を軸とした回転力が生じます。(heel rocker)

そして、足裏接地から踵が離れるまでは、足首を軸とした回転力が生じます。(ankle rocker)

この2つの回転軸の違いが、後の重心の高さに影響すると言われております。

踵から接地した場合の重心移動

足裏から接地した場合の重心移動

踵から接地した際には、踵を軸に身体が前上方へ移動するため、重心位置が高くなります。

一方で、足底から接地すると回転軸が足首になり、膝には曲がろうする力が生じるため、重心の上方移動は少なくなります。

そのため、位置エネルギーをためることが出来ず、歩行速度が遅くなったり、1歩1歩のエネルギー効率が悪くなり疲れやすい歩き方になると言われています。

他にも、踵接地はお尻や太ももの筋力を必要とする動作のため、同部位の筋肉を弱りにくくすることにも有効と考えられています。

まとめ

踵から着いて歩くことは、筋力の維持だけではなく、歩行の効率が向上し、疲れにくい歩き方ができます。また、歩行速度も向上するため、速歩きで得られる効果が得られます。

皆さんも、踵から着く歩き方を意識してみてくださいね。

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