姿勢と肩甲骨
現代社会では、スマートフォンやパソコンの長時間使用が当たり前になり、多くの人が猫背や巻き肩といった不良姿勢に悩まされています。
このような姿勢の乱れは、肩こりや首の痛みだけでなく、呼吸や全身の動きにも悪影響を及ぼすことがあります。
その鍵を握るのが、「肩甲骨」です。
肩甲骨は、背中の中心に位置し、腕や肩を動かす際の土台として機能する重要な骨です。しかし、私たちは普段、その存在を意識することがほとんどありません。
この記事では、肩甲骨が持つ役割や理想的な位置、そして姿勢との関係について掘り下げ、最後に肩甲骨を効果的にケアするためのエクササイズもご紹介します。
正しい姿勢を取り戻し、快適な日常生活を送るために、肩甲骨の健康を見直してみませんか?
目次
肩甲骨とは
肩甲骨は、背中の上部に位置する平らな骨で、肩関節の動きをサポートし、腕の自由な動きを可能にする重要な役割を果たします。
また、肩甲骨は筋肉や腱の付着点として機能し、上半身の安定性を保つ働きもあります。
日常生活やスポーツ活動での動作の効率性を高めるため、肩甲骨が適切に機能することは非常に重要です。
肩甲骨の位置
理想的な肩甲骨の位置は、背骨の左右に約5~6cm(指3~4本分)離れた位置で、肩甲骨の上端が第2胸椎の高さに位置する状態です。
この位置が保たれると、肩関節への負担が軽減され、腕や上半身の動きがスムーズになります。一方で、肩甲骨が前方に突き出たり、内側や外側に偏ったりすると、姿勢の乱れや肩・首の痛みを引き起こす原因となります。
肩疾患と肩甲骨の関係に関する研究報告→参考:Clinical Significance of Scapula-Spine Distance
肩甲骨と姿勢の関係
肩甲骨の位置と姿勢には密接な関係があります。例えば、猫背や巻き肩といった不良姿勢は、肩甲骨の前方傾斜や外転を引き起こし、肩関節や首周りに負担をかけます。このような姿勢が長期間続くと、肩こりや五十肩、さらには呼吸機能の低下などの問題を招くことがあります。
また、猫背の状態では肩甲骨の位置が変動することによって、腕の可動域も制限されます。
肩甲骨のエクササイズ
肩甲骨の位置を改善し、機能を向上させるためのエクササイズを以下に紹介します。
1.ウォールスライド
壁に背中をつけ、腕をY字に広げて滑らせるように上下に動かします。
この動作では主に肩甲骨の上方回旋や下方回旋、内外転の動きをスムーズにすることができます。
※肩をすくめないようにし、肩甲骨の動きを意識して動かすとより効果的です。
2.バンドプルアパート
ゴムチューブやセラバンドを両手で持ち、肘を伸ばしたまま胸の高さで引っ張ります。
肩甲骨を寄せる感覚を意識しながら、10~15回繰り返します。
※手首が曲がってしまうと痛める可能性があるため、手首もしっかり伸ばしておきます。
鍛えることが出来る筋肉:
菱形筋:肩甲骨と背骨の間にある筋肉
僧帽筋:背中を覆っている筋肉
3.ウインギング
①両肘から両前腕の内側をくっつけたまま、肘が目線の高さに来るまで上げます。
②肘の高さが下がらないように肘と前腕を外に広げて行き、肩甲骨を寄せて行きます。
この時、手のひらが外向きになるように腕を返しながら開きます。
③腕が開ききったら、そのまま天井に向かって手を伸ばし、両手の甲を合わせます。
手の甲を合わせた後は、③→②→①の流れで元の姿勢まで動かします。
この①~③、③~①の流れを10回程度繰り返します。
まとめ
姿勢が整い、肩甲骨が正しい位置に来ることで、首や肩回りの負担が軽減し、肩こりや首の痛みなどが軽減する可能性があります。
また、肩甲骨の可動性が高いとバレーボールや野球、バスケット、ハンドボールなど腕を良く使うスポーツでは、ケガのリスクが軽減するだけでなく、パフォーマンスの向上にもつながります。
日々の姿勢や肩甲骨の可動性を意識し、快適な日常生活やスポーツを楽しんでいただけると幸いです!